東京湾沿岸部だけでなく市川市全域で起こりやすい塩害(2026年1月21日再構成)
塩害とは塩、つまり塩化ナトリウム(NaCl)による数多くの害です。東京湾に面している千葉県市川市については、全域で塩害を受けやすく、南部ほど被害が大きくなる(強塩害地域)と東京電力供給エリア塩害マップでは示されています。
橋や道路など建造物への塩害
コンクリートとは、セメント、水、砂、そして砂利や砕石を混ぜ合わせて練ったものです。
セメントは、石灰石や粘土を混ぜ合わせて焼成した後、粉砕したもので、水と反応して固まる性質があります。
コンクリートを作る際に、海の砂などが混入した際に、塩害が発生しやすくなります(内存塩分)。
また、凍結防止剤や海水などでコンクリート表面に塩がくっつくこともあります(外部供給)。
海に溶けた塩は、塩化物イオン(Cl-)とナトリウムイオン(Na+)とになります。海水が風に吹かれると、塩化物イオンとナトリウムイオンも水に溶けた状態で飛ばされます。そのため、海岸線に近い場所だけでなく、海から離れた場所でも塩害が発生します。
塩化物イオンがコンクリートに入り込んで、中の鉄筋にまで達すると、表面の薄膜を破壊されて腐食(さびなど元の材料とは異なる物質になったり、劣化してもろくなったりすること)が進みます。
車・住宅設備への塩害
金属に塩が触れると、腐食しやすくなります。車や自転車、太陽光パネルの金属部品などは、塩害を受けます。
電気を送るケーブルなどへの塩害
電気を送るケーブルなどに塩がくっつくと、雨が降ったときなどに塩水ができ、塩水に電気が漏れる漏電が起こる場合があります。漏電すると火花や煙が出るほか、電線が切れて停電することもあります。
塩害が予想される地域では、耐塩性の強い被膜や塗装が施されたり、塩を定期的に除去したりします。
植物への塩害
高潮や津波で海水が浸ったとき、そして逆流した海水が農場用水などで取り込まれたときには、土壌に塩が入り込みます。すると、次の2つのパターンで塩害が発生します。
○イオン濃度に悪影響を及ぼす
土壌などの塩分(NaCl)濃度が上昇すると、塩分の一部が植物の中に入ってきて害をなすことによります。植物の細胞内外のナトリウムイオン濃度や塩化物イオン濃度が高くなると、細胞が正常な反応を行えません。
○水を取り込めなくなる
浸透圧の差を利用して、植物は周囲の土壌などから水を取り込んでいます。土壌に塩が大量に混じって浸透圧が高くなると、植物の中に水が入ってこなくなります。
浸透圧については、葉に対しても影響を及ぼします。強風で海水が巻き上げられて、葉についたとします。風で葉が傷ついた部分に塩がつくと、葉の内部の水が塩に奪われて枯れてしまうのです。
海辺に生えている植物や、海中の藻類などには、塩化物イオンやナトリウムイオンを排出する仕組みが備わっています。
また、植物の細胞には液胞という巨大な細胞小器官があります。液胞は有害な物質をため込むので、塩化物イオンやナトリウムイオンを細胞外に排出できない場合には液胞に隔離しておくこともできます。
水道水への影響
浄水場で水を取り込んでいる取水地点で、川の水に塩分(塩水、海水)が混じると、水道水にも塩分が混入して塩辛くなります。川の水の量が減ると、河口付近では海よりも水位が下がるため、川に海水が入ってくるのです。1958(昭和33)年に茨城県(霞ケ浦周辺)の利根川、1992(平成4)年に鹿児島県の川内川、1996年に愛知県の豊川と広島県の沼田川、2004年に愛知県の長良川、2007年に宮崎県の一ツ瀬川で、塩害による取水制限などが報告されています。
東京湾に注ぐ江戸川については、海水が河口から約17km上流の流山橋まで上がっていたようです。そのため、行徳可動堰と江戸川水閘門で、海水が江戸川に上がっていく塩分(塩水、海水)遡上が監視され、コントロールされています。行徳可動堰は、通常はゲートが閉められて塩分遡上を防止し、大雨などで川の水が増えたらゲートを開けています。
なお塩分遡上で、比重の高い塩水が、比重の低い淡水の下に潜り込むことを、塩水くさびといいます。
■主な参考資料
荒川上流河川事務所 基礎用語集
【技術なんでも相談】■津波による塩害を受けた農地の復旧方法について教えて下さい
塩害について
砂漠化の主なタイプは3つあるよ
江戸川河口だより
Ⅱ-ⅱ 塩害
河口堰概要
東 京湾 沿岸諸河 川にお け る海水遡上 限界
江戸川区の用水(1)
台風14号通過後「電線から火花や煙」、通報150件…強風で海水巻き上げられ「塩害」か
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