ショップス市川の前の産業道路が、よく冠水するのはなぜなんだ問題

 
広報いちかわ7月3日号 特集1より

 大雨が降るたびに、有名になるのがショップス市川前の産業道路(県道283号線若宮西船市川線)。派手に冠水するため、SNSで動画がアップされ、テレビ番組でもニュースになりがちです。

 一般論として、水害が起こりやすいのは真間川や大柏川などの流域です。川から離れているショップス市川の前の産業道路が冠水するのはなぜでしょうか。



 市川市内の水害の歴史を見ていくと、「真間川流域」で甚大な被害があったとわかります。『真間川流域マップ 』『真間川を訪ねて  治水編(上巻)』などの資料が豊富なのも、このエリアで重点的に水害対策が行われたことの表れだと考えられます。
『真間川流域マップ 』より



 水害対策のおかげでしょう。近年、真間川流域では大雨のときに注意喚起は行われるものの、浸水被害などの報告は見つかっていません(あくまでクラナリ調べ)。

 一方、ショップス市川の前の産業道路は、広報いちかわでも冠水した写真が掲載されています。冠水スポットとして注意喚起が行われているわけです。
 どうして川から近いとはいえないスポットに水がたまるのでしょうか。

 まずは標高を調べてみました。

 市川市については、JR総武線より南側が低地だと、国土地理院地図でわかります。標高0m以下、つまり、「ゼロメートル地帯」もあります。
国土地理院地図

 では、ショップス市川の前の産業道路の周辺を拡大しましょう。
国土地理院地図

 ショップス市川の周辺は、全体的に低地ですが、産業道路をはじめ、道路部分は標高が1m以下だとわかります。
 水は高いところから低いところへと流れるもの。国土地理院地図を見れば、ショップス市川の前の産業道路が冠水するのも当たり前の現象だと思えます。道路周辺のほうが標高が高いため、道路に大量の水がたまるわけです。

 どうしてショップス市川の前の産業道路は標高が低くなっているのでしょうか。今昔マップで歴史をたどってみましょう。
左側は1903(明治36)年測図の地図(今昔マップより)

 上の地図のマーカーは、ショップス市川の北東の交差点です。かつて、産業道路は「横堀」と呼ばれる、田んぼを突っ切る大きな水路だったのだとわかります。また、ショップス市川の東側の道路も、昔は水路でした。
 現在のショップス市川の周辺は、1935(昭和40)年頃には田んぼから工場地などへと変わり、1976(昭和51)年頃には産業道路ができています。
 以上のことから、大きな水路に蓋をして、産業道路ができたのだと推測します。そのために周りよりも標高が低くなったのでしょう。

 このように考えると、今から路面を高くするというのも厳しいような気がします。「大雨が降ったら、ショップス市川の前の産業道路は迂回する」という選択が妥当ではないでしょうか。

■主な参考資料

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