【市川ブックフェア】来年以降は市川みらいアーカイブが主催
フェア(fair)の語源は、ラテン語で「祝日」「祭日」を意味するferiaでした。祝日には教会に人々が集まり、周辺で市(いち)が立ちました。
ですから「ブックフェア」は、本来、本を展示する人たちと来場者で直接コミュニケーションを取るイベントだといえそうです。
ブックフェアはコミュニティの一種とも呼べるかもしれません。ただ本を見に来るだけでなく、本で好奇心を満たしたい人たちが顔を合わせ、対話から予期せぬ発見が生まれる場になるからです。
インターネット検索では、個人の趣味嗜好を細分化して、アルゴリズムで最適な解を効率的に選び出すため、異質な世界とはつながりにくくなっています。その真逆の状態を、ブックフェアは作り出すわけです。
ブックフェアでは、プロかアマチュアか、ビギナーかベテランかなどの尺度は必要なく、商業的な成功は意味を持ちません。もちろん、本で儲けようとする行為を「よろしくない」と見なすわけではなく、売上高という数値で勝負するのは別の場所だと考えています。
市川ブックフェアは、これまで市川市立図書館だけで開催してきました。
公共の図書館は、営利目的のイベントなどは許可されていません。本を無料で借りて読むことのできるため、その本が購入される機会を奪っていると、長く批判されてきた側面もあります(「無料貸本屋」批判)。こうしたことから、売上などは発生しない場所です。
また、幅広い年代・分野の本が取り揃えられている点でも、ブックフェアの場としては適していました。
一方、静かに過ごすことが前提なので、ワイワイと人が集まって対話するには不向きです。
また、行政機関の一つのため、管理職が定期的に異動をし、「図書館や出版に精通しているから異動してきた」ということもありませんでした。そして、民間企業と比べて提案書などの事務負担は大きく、意思決定に時間がかかり、企画の見直しなどの手順が多いという傾向も見られました。
ブックフェアの開催において、利用者が減少して予算が削られている公共の図書館に、あまり多くのことを求めるのも違うように感じていました。「本を展示する人たちと来場者で直接コミュニケーションを取るイベント」は、別の場所のほうが適しているということです。
市川ブックフェアは、今年(2026年)までは市川市作家協会が主催していましたが、来年以降は市川みらいアーカイブへと引き継ぎます。市川市作家協会の運営者も、今年で交代をしています(クラナリは運営に携わりません)。
これを機に、数カ所で同時開催などの新しい展開を検討しているところです。パソコンが普及して印刷技術も進んだ現在では、本は読むだけでなく、自分たちで作るものになりました。本の地産地消を目指す形で、市川ブックフェアが本作りの場になるのも面白いかもしれません。
■主な参考文献
神戸「本」の文化振興プロジェクト
「地方でブックフェアをやるということ」KOBE BOOK FAIR&MARKET 発案者インタビュー
関係者から指摘された書店活性化のための課題|経済産業省
書店は文化の発信拠点であり、多様な考え方を維持し、国力にも影響を与えうる、きわめて重要な社会の資産である。しかしながら、現状においては、活字離れ、ネット書店の拡大などから厳しい状況におかれ、一つまた一つと閉店が続いている。
「書店活性化プラン」を公表します|経済産業省
多様なコンテンツに触れることができる場であり、創造性が育む文化創造基盤
図書館・書店等連携実践事例集|文部科学省
全ての国民があらゆる機会と場所において書籍に触れ、読書を行うことができるよう、図書館及び文化拠点としての書店等の振興が図られることや、図書館等が地域の書店、出版社等との連携により地域に根差した子供のための読書環境醸成に取り組むことなどが期待されています。
今どきの本屋のはなし
経産省が書店に関わろうと考えた背景
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