【令和8年8月千葉豪雨】逆走台風については去った後に長時間の豪雨・道路冠水に警戒が必要(2026年8月13日初出、2026年9月13日追記)
千葉県市川市では、台風15号(チャンホン)自体の影響は小さかったものの、去って2日後の2026(令和8)年8月13日の午後に、激しい雷雨が4~5時間ほど続きました。
気象庁は、2026(令和8)年8月13日17:58に、千葉県北西部、南部に線状降水帯が発生したと発表しました。長時間の雷雨は、線状降水帯によるものです。
線状降水帯は、次々と発生した積乱雲により、線状の降水域が数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞して大雨をもたらすものです。線状降水帯が発生すると、災害の危険性が急激に高まります。
このときの線状降水帯は、「スコールライン型」の降水システムが停滞したものでした。
冷気層の上空におけるリア-インフロージェット、ガストフロント(弓状に押し出されたシアーライン)、その上空付近における急発達した積乱雲など、スコールライン型の降水システムに典型的な特徴が観測された。ただし、通常のスコールライン型の降水システムは速い速度で暖湿気側に移動するところ、この事例では停滞性を示した。また、この降水システムの北部において特に強い雨が観測された地域では、積乱雲の内部に渦が生じていたことから、この渦が局所的に上昇流を強めて降水粒子の形成を促す一因となったことが示唆される。
○スコールライン型の降水システム:非常に発達した積乱雲を伴って激しい雨や雹、雷、突風などをもたらす降水システム
○ガストフロント:弓状の局地的な前線で、その上空では強い上昇気流によって積乱雲が急発達する
○リア-インフロージェット:後面からの強い気流
今回の千葉県での豪雨を、気象庁は「令和8年8月千葉豪雨」と名づけました。
市川市は、2026(令和8)年8月13日16時51分に警戒レベル4の大雨危険警報を発表し、18時30分に市内北東部、北西部に土砂災害に関する警戒レベル4「避難指示」を発令しました。19時51分に、大野町、大町、南大野、柏井町、奉免町に対し、大柏川の氾濫に関する警戒レベル5緊急安全確保を発令。
21時9分に、警戒レベル4「避難指示」とレベル5「緊急安全確保」を発令。
18時頃、下貝塚1丁目で、のり面(法面)が崩れたということです。のり面とは、道路や宅地を作るために、山を削ったり(切土)、土を盛ったり(盛土)してできた人工的な斜面です。
13日午後6時5分ごろ、千葉県市川市下貝塚の本住寺の住職から、寺の北側で崖崩れがあったと市に連絡があった。本住寺によると、寺は周囲よりも2メートルほど高くなっており、敷地の境界付近で幅6~7メートルにわたって崩れた。建物や人への被害は確認されていないという。
国土交通省によると、市川市内では国分川などで氾濫の危険度が高まりました。
千葉県千葉市では、1時間の最大降水量は115mmでした。
市川駅南エリア在住のクラナリの印象では、ここ20年で最もひどい冠水でした。
ウェザーニュースのレポートでは、自治体のハザードマップには「水害リスクが高い」として掲載されていないエリアでも、令和8年8月千葉豪雨で冠水が発生したとのことです。
市川市では「80年〜150年に1度程度」、千葉市については「1万年に1度」の記録的大雨でした。
分析の結果、被害報告の半数以上(55.7%)が、国や自治体が指定する「浸水想定区域」や「低位地帯」の範囲外で発生していたことが判明しました。従来の水害リスクエリアで深刻な被害が出た一方、想定外の場所でも急激な冠水が発生しています。短時間集中豪雨においては、河川から離れた場所であっても水害リスクが存在することを示しています。
台風15号は、日本列島を東から西へと抜ける、異例のルートをたどった“逆走”台風でした。通常、台風が去った後はカラッと晴れる「台風一過の青空」となって、一安心するものです。しかし、逆走台風では、去った後のほうが警戒が必要だといえそうです。
一方、市川市の中でも標高の低い妙典・行徳・南行徳エリアでは、交通規制が行われておらず、Xの複数のポストを総括すると「道路でところどころに水がたまっているものの、冠水まではしていない」状況だったようです。
2026(令和8)年7月17日発生したゲリラ豪雨でも同様に、下総台地の周辺エリアで冠水が発生しました。
標高が20~40mの下総台地に振った雨は、分水界を境に、北東の太平洋方面(手賀沼・印旛沼・利根川)と、南西の東京湾方面とに分かれて流れていきます。
あり得ないことではありますが、鎌ヶ谷市で猛烈な豪雨が発生して、市川市でまったく雨が降らなかった場合を検討しましょう。鎌ヶ谷市の雨水の一部は、市川市の下総台地の周辺エリアを通って東京湾に流れ込みます。台地の上と下という高低差があり、雨水が一気に流れ込むことから、市川市の下総台地の周辺エリアでは排水が追いつかなくなるのかもしれません。
このように、たとえ市川市では雨が降らなくても、下総台地で猛烈な雨が降ったら、市川市内の道路で冠水が発生する可能性があるわけです。
江戸川(放水路)を挟む妙典・行徳・南行徳エリアは、「下総台地から流れ込む雨水」の影響を受けないため、豪雨では冠水が起こりにくいと考えられます。
しかし、台風が発生しているときには、海面が上がるため、これらのエリアでは雨水が雨水管から排出しにくい状態になるでしょう。
台風15号発生から令和8年8月千葉豪雨までの流れ
2026(令和8)年8月5日15時 北太平洋で、ハワイとグアムの間にあるウェーク島近海で発生
2026(令和8)年8月11日0時 茨城県南部に上陸
2026(令和8)年8月12日9時 丹後半島沖の日本海で熱帯低気圧に変化
2026(令和8)年8月13日午後 令和8年8月千葉豪雨、千葉県市川市で警戒レベル4の大雨危険警報
警戒レベル4 避難指示(全員避難)通常の避難行動ができるものが避難行動を開始しなければならない段階であり、人的被害が発生する可能性が明らかに高まった状況
太平洋上には、モンスーンジャイアと呼ばれる、季節風(モンスーン)の西風などによる、反時計回りの大きな渦(ジャイア)が発生しています。
また、東側には太平洋高気圧、そして上空には寒冷渦(冷たい空気の渦)がありました。
そのため、モンスーンジャイアに沿って、台風15号は発生後に北上した後、西に進み、日本列島を東から西へと進みました。
台風が過ぎた後にも残るモンスーンジャイアを回る暖かく湿った風、そして寒冷渦、台風15号から変わった熱帯低気圧の湿った空気で、大気の状態が非常に不安定になりました。結果、雷雨が長時間にわたって続きました。
通常のゲリラ豪雨とも異なる雷雨といえそうです。
長時間にわたる激しい雨で、低地が冠水しています。
外環(東京外かく環状道路、国道298号)の三郷南IC~高谷JCTが通行止めになりました。
| 出典:日本道路交通情報センター8月13日17:10 |
また、雨で電車のダイヤが乱れ、京成本線の踏切では遮断機が長時間降りた状態が続きました。
こうしたことから、多数の渋滞が発生しました。
そして雷の影響で、一時的にJR総武線がストップ。
京成本線は雨の影響で運転を見合わせました。
2026(令和8)年8月13日19時に、市川市二俣で「冠水した道路に男性が浮いている」と通報があり、60代と見られるその男性は病院に搬送され死亡が確認。
冠水した道路では、マンホールのふたが外れていても水で見えず、また、側溝との境目もわからなくなりがちです。転倒した際に顔が水につかって、呼吸ができなくなるリスクも考えられます。
以下、市川市からのメールとXのポストの一部引用。まとめると、市川市全域の道路で冠水が発生していて、迂回してもさほど意味がないことから、台風が異例のルートをたどった後は、車を動かさないほうが無難といえます。
市川市からのメール《交通規制を実施している箇所》
8月13日(木) 19:28
・市川市動植物園
西側道路・弁天池公園(曽谷2-33)付近・原木地下道・ゆうゆうロード(市川南1-9付近)・菅野トンネル(国道298号)
8月14日(金) 0:53
・弁天池公園(曽谷2-33)付近・宮久保1-22付近・原木地下道
Xのポスト(下総台地の周辺エリア)
南八幡5丁目市川南口の京葉瓦斯本社の通りは現在いつもの辺りで冠水中。鬼高 本中山4丁目 本中山5丁目付近の道路冠水マルエツ市川菅野店の裏側(アーデル通り側)完全に道路が冠水してる市川市市川南3丁目付近冠水してます。283号線はかなり危険。市川駅周辺原木中山周辺高塚のマミーマート行こうとしたら道が無くなってた。池だった。市川市田尻京葉道路の裏側の道冠水してます市川インター周辺市川市の冠水、産業道路市川ショップス前がもはやクルマが通れないレベルです。
市川の産業道路冠水中。18台動けず。来ちゃダメよ。
市川大野駅前が冠水市川斎場前あたりの道が冠水産業道路、特にショップス近辺はかなり冠水してて消防車も出動。市川大野-東松戸間で冠水して車2台埋まってんだけど
Xのポスト(妙典・行徳・南行徳エリア)
行徳駅前、バス停からバイパスに向かっては道路一面の冠水とは言わないものの、交差点の横断歩道部は舗装が凹んでいるところが多く道端の水たまりがひどいです。実は夕方、松戸市内に用事ありましたが、向こうは行徳以上に冠水してました…市川市、行徳・南行徳地区は江戸川を挟んでるからかハザードが浦安に近い気がする。冠水するのも本八幡側で、行徳や浦安側はなぜかあまり被害を受けない
※19日の報道では、死者13人、重傷者2人、軽傷者は42人
令和8年8月千葉豪雨について(第11報)
1 被害状況人的被害死者10人千葉市4人、市川市1人、佐倉市2人、柏市1人、八千代市1人、いすみ市1人行方不明2人 千葉市1人、市原市1人重症者2人 千葉市2人軽症者32人千葉市11人、船橋市2人、松戸市5人、佐倉市4人、柏市6人、鎌ケ谷市3人、富津市1人住宅被害全壊2棟 千葉市1棟(緑区)、佐倉市1棟(上志津)半壊12棟 千葉市1棟、茂原市2棟、佐倉市9棟一部損壊43棟 千葉市23棟、茂原市2棟、市原市17棟、南房総市1棟床上浸水1000棟千葉市170棟、市川市32棟、船橋市9棟、館山市3棟、松戸市34棟、茂原市41棟、佐倉市100棟、東金市17棟、習志野市4棟、柏市45棟、市原市56棟、八千代市246棟、我孫子市37棟、鎌ケ谷市116棟、四街道市9棟、八街市1棟、印西市1棟、白井市3棟、山武市21棟、大網白里市50棟、長柄町5棟、九十九里町複数棟床下浸水1007棟千葉市92棟、市川市44棟、船橋市13棟、館山市5棟、松戸市147棟、茂原市55棟、佐倉市100棟、東金市9棟、習志野市5棟、柏市53棟、市原市69棟、八千代市64棟、我孫子市102棟、鎌ケ谷市174棟、袖ケ浦市1棟、八街市2棟、印西市1棟、白井市9棟、南房総市1棟、匝瑳市1棟、山武市7棟、大網白里市50棟、横芝光町1棟、長柄町2棟、九十九里町複数棟
第5回千葉県災害対策本部会議|千葉県
https://www.pref.chiba.lg.jp/bousai/bousai/documents/202608175.pdf
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