神様を乗せて運んでいる神輿(2025年5月21日再構成)

  神輿の「神」は神様で、「輿」は高貴な人を乗せて担ぐ乗り物です。ですから、神様を乗せて運ぶのが神輿で、神社を模した形になっています。



 神社を模している神輿なのですが、「春日造(かすがづくり)」という様式から生まれたようです。
 社殿の多くは、地面を掘って柱の下部を埋めてから立てたり、礎石など上に柱を立てたりするそうです。
 ところが春日造は木を「井」の形に置いて井桁を組み、その上に柱を立てます。 
 これは、社殿を移動させることが前提になっていて、お祭りのためにさまざまな場所に社殿を持って行くわけです。井桁を長く伸ばして担げるようにしたものが神輿という説があるとのこと(これは稲垣 栄三氏の説で、もちろん諸説あり)。

 「えっ、社殿を移動させるの!?」と私たちは驚いてしまいます。ただ、『万葉集』に「屋代(やしろ)」という言葉が出てくるそうです。「屋」つまり家の代わりということ。もともとは祭りのときに作られて終われば撤去されていたのが、だんだん常置されるようになったと考えられるのだそうです。


 それから、仏堂や社殿については、建て方に共通点があるそうです。
 それもそのはず。神仏分離は明治政府の政策。江戸時代まで、神社も寺院も同じ敷地に一緒に建てられていたので、建て方を大きく変える必要もないわけです。

 今回は神輿との関連が深い仏堂や社殿の部材をざっくりと紹介します。普段、私たちになじみのないものだけ説明を加えています。



○基壇(きだん)
 建物の土台に当たる部分。「壇上積(だんじょうづみ)」「石垣積(いしがきづみ)」「礎石(そせき、柱や土台の下などに据えて、建造物の重量を地面に伝える働きを持つ石)」がある。

○柱

○斗栱(ときょう)
 建物の軒裏や内部の天井周囲にある、細長い材と四角い材が組み合わさった部分。柱の最上部や、軸部の上に設置され、軒桁を支える。


○蟇股(かえるまた)
 カエルが股を広げたような形で、上部の荷重を支える部分。

○虹梁(こうりょう)
 梁(はり)の一種で、上に緩くカーブしている。


○軒(のき)
 屋根の最下部で、建物の本体から突き出ている。

○垂木(たるき)
 屋根板を支えるため、棟から軒に渡した木。

○束(つか)
 短い柱。

○支輪(しりん)
 高さが異なる平行材(桁と通肘木、あるいは通肘木と通肘木)の間に、斜めにある化粧材。

○木鼻(きばな)
 水平材(横木)の先端や、柱から突き出した水平材に施された彫刻。

○手挟(たばさみ)
 本殿または本堂から正面に突き出た部分(向拝、御拝)の柱の上部で、垂木の勾配でできた三角形の空間を埋めるもの。

○天井

○屋根、瓦

○妻飾(つまかざり)
 日本建築では、正面を「平(ひら)」、側面を「妻(つま)」と呼ぶので、妻飾は側面の装飾。

○破風(はふ)
 妻飾の一つ。屋根の側面の三角形のところに取り付けられた、山形(合掌形)の板。

○懸魚(げぎょ)
 妻飾の一つ。破風の拝み(左右の破風が上部でぶつかるところ)についている飾り。

○窓

○高欄(こうらん)
 欄干や手すり。

○扉、戸

○襖、障子

○欄間(らんま)

○格狭間(こうざま)
 継ぎ目を覆う装飾。

○金具(かなぐ)
 銅や鉄を使ったくぎなどや、装飾。

■参考資料
『神社建築』 監/濱島正士 山川出版社
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