「未来をつなぐ新湾岸道路プロジェクト」を「ネオ・トウキョウ・プラン」までさかのぼる(2025年5月11日初出、2025年8月29日改題・更新)


「未来をつなぐ新湾岸道路プロジェクト」のチラシ

 市川市内在住のクラナリの家のポストに「未来をつなぐ新湾岸道路プロジェクト」のチラシが入っていました。

 チラシを作製したのは「新湾岸道路プロジェクトにおけるコミュニケーション活動の運営主体」とのこと。長い、長すぎる……

 右上には、「WISENET2050」のマークが記載されていますが、何を意味しているのでしょうか。
 また、オープンハウスでアンケートに回答するともらえるチーバくんグッズが、「九十九里浜」「千葉県動物愛護センター」のワッペンなど、ほかのイベントで作ったものの余りのように見えるのですが、実際はどうなのでしょうか。なお、オープンハウスは、テレビCMを打ちまくっている某住宅メーカーではなく、パネル展示を用いた対話形式の説明会とのこと。
アンケートに回答するともらえるチーバくんグッズ

 今回は、ネオ・トウキョウ・プランから第二東京湾岸道路、新湾岸道路までを年表にまとめました。「WISENET2050」は、年表の中に調べた結果を盛り込みます。アンケートの謝礼のチーバ君くんグッズについては、実際にオープンハウスに参加した人からの報告をお待ちしています!

※今回の記事は、 夢か、狂気か「ネオ・トウキョウ・プラン」その5 幻の新首都「ヤマト」と「ダイニトウキョウワンガンドウロ」 の改題・更新を行ったものです。
※内容の誤りや最新情報があれば、ぜひお寄せください。
※一定期間、一般公開した後、会員限定サイトに移します。



核爆発を利用して鋸山を崩し、
東京湾の3分の2を埋め立て、
新首都「ヤマト」を建設する


 こうした「ネオ・トウキョウ・プラン」を盛り込んだ『東京湾2億坪埋立についての勧告』が、1959(昭和34)年7月29日に産業計画会議委員総会で発表されました。

ネオ・トウキョウ・プラン( 『東京湾2億坪埋立についての勧告』より)


※『東京湾2億坪埋立についての勧告』は一般財団法人電力中央研究所のサイトで公開されています。
https://criepi.denken.or.jp/intro/recom/recom_07.pdf?v2

 中心となって取りまとめたのは加納久朗(かのうひさあきら、1886-1963)氏です。1962(昭和37)年11月には、千葉県知事選挙で加納氏が当選しました。しかし翌年には急逝します。

 東京湾の一部を埋め立てて、東京都大田区と千葉県市原市を結ぶ自動車専用道路(高速道路)の建設する計画だった第二東京湾岸道路については、加納氏が急逝せずに千葉県知事のままであったら、凍結状態になどならなかった可能性があります。 

 第二東京湾岸道路については、2001(平成13)年に市川二期・京葉港二期地区埋立計画が白紙撤回され、2009(平成21)年に国土交通省東京湾岸道路調査事務所が廃止になったことで、凍結となりました。
 2025年現在、新たに計画されているのが新湾岸道路です。

 なお、Wikipediaによると加納氏は、仮名文字専用論を唱える「カナモジカイ」という団体の有力メンバーだったそうです。そのために、大和ではなくヤマト、東京ではなくトウキョウと表記したと考えられます。
 カナモジカイ的には第二東京湾岸道路はダイニ・トウキョウワンガンドウロ、新湾岸道路はシン・ワンガンドウロとなるのでしょうか。


ネオ・トウキョウ・プランから新湾岸道路プロジェクトまでの年表


1959(昭和34)年7月 ネオ・トウキョウ・プランを収載した『東京湾2億坪埋立についての勧告』を産業計画会議が発表

1962(昭和37)年11月 千葉県知事選挙で加納久朗氏当選
1963(昭和38)年2月 加納知事急逝
1963(昭和38)年4月 友納武人氏が千葉県知事に就任

1963(昭和38)年 東京湾環状道路の各種調査を行っていた関東地方建設局(現:関東地方整備局)道路部などが、3環状9放射の道路交通ネットワークを計画
3環状9放射の道路交通ネットワーク(国土交通省関東地方整備局 首都圏3環状道路より)


1970(昭和45)年4月 東京湾岸道路調査事務所を新設し、本格的な調査を開始

1986(昭和61)年4月 第二東京湾岸道路の調査・計画を実施
※東京都大田区城南島と千葉県市原市廿五里(ついへいじ)の間の約50 kmを結ぶ幹線道路として構想

第二東京湾岸道路(国土交通省関東地方整備局東京湾岸道路調査事務所サイトより)



1993(平成5)年3月 三番瀬を埋め立てる市川二期・京葉港二期地区埋立計画を千葉県が策定

1994(平成6)年12月 第二東京湾岸道路が地域高規格道路の候補路線に指定

2001(平成13)年3月 5期20年務めた沼田武千葉県知事が引退表明、三番瀬を埋め立てる計画の白紙撤回を千葉県知事選挙で公約とした堂本暁子氏が当選 
2001(平成 13)年9月 市川二期・京葉港二期地区埋立計画が白紙撤回

2009(平成21)年3月 国土交通省東京湾岸道路調査事務所が廃止

2019(平成31)年3月 第1回 千葉県湾岸地区道路検討会

2020(令和2)年5月 第2回 千葉県湾岸地区道路検討会、外環高谷JCT周辺から蘇我IC周辺ならびに市原IC周辺までの湾岸部でルートを検討

2021(令和3)年5月 千葉県湾岸地区道路検討会が基本方針を作成

2023(令和5)年6月 第1回 新湾岸道路検討会準備会

2023(令和5)年10月 「WISENET2050・政策集」を国土交通省が公表
※WISENETとは、World-class Infrastructure with 3S(Smart, Safe, Sustainable) Empowered NETwork の頭文字を取ったもの
※「2050年に世界一、賢く・安全で・持続可能な基盤ネットワークシステムを実現する」「経済成長と国土安全保障を実現するシームレスネットワークの構築」を目指す
※「未来をつなぐ新湾岸道路プロジェクト」のチラシ右上に、WISENET2050のロゴが掲載されている



2024(令和6)年8月2日 新湾岸道路 第1回 有識者委員会
新湾岸道路は、外環高谷JCT周辺から蘇我IC周辺ならびに市原IC周辺を結ぶ高規格道路

新たな高規格道路ネットワークの形成により、湾岸地域のポテンシャルを十分に発揮させ、我が国の国際競争力の強化や首都圏の生産性向上、湾岸地域の更なる活性化を図る

〇新湾岸道路 第1回 有識者委員会資料

2025(令和7)年5月28日 新湾岸道路 第2回 有識者委員会
※概略ルート・構造案が示される
案1-1 高架構造を主体とする道路の概算事業費 約1兆円
案1-2地下構造を主体とする道路の概算事業費 約2兆円
案2 現道対策+一部バイパス整備案の概算事業費 0・5兆円

(1) 第2回コミュニケーション活動(情報発信)の実施内容
新湾岸道路の広報チラシを湾岸地域の地域住民に情報提供

〇新湾岸道路 第2回 有識者委員会資料

 「第2回コミュニケーション活動(情報発信)」の一環で、チラシがポストに投函されていたのだとわかりました。

■参考文献
新湾岸道路の検討状況

国土交通省関東地方整備局 首都圏3環状道路

国土交通省関東地方整備局東京湾岸道路調査事務所

都心と千葉県を結ぶ「新湾岸道路」建設プロジェクトは動き出したが…課題は山積み

東京湾岸道路計画

国、第二東京湾岸道路の検討会設置 自然への影響課題

市川二期地区埋立計画(中止)

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