「石」の「口」の上に「、(点)」がついている問題

  国府台にある、不動産屋さんのビルのようです。


 壁には、「石」の「口」の上に「、(点)」がついている屋号。そして「林屋」と社名が続きます。


 「石」の「口」の上に「、(点)」?



 これは「石」という漢字のバリエーションでよいのでしょうか?


 ネットで調べると、奈良県の川上村に、この漢字が入っている看板や石碑が多数あったとの情報が。

 ほかには、名字にこの漢字が使われている、「石」の異体字である、などの情報も見つかりました。


 異体字については、東京文化財研究所(独立行政法人国立文化財機構の下部組織)のサイトで調べたところ、「石」は「鉐 䄷 䂖」。よって、「石」の「口」の上に「、(点)」は、「石」の異体字ではなさそうです。

「石」の異体字(東京文化財研究所のサイトより)

 素直に考えれば、林屋はもともと石材屋だったために「石」のような漢字が屋号で、後々に不動産屋に転向したのだが、屋号はそのまま残ったということかと。


 まあ、あれこれ考える前に、こちらの不動産屋さんに質問したほうが早いわけですが……

 「決して怪しい者ではありません。ただ、貴社の屋号に使われている漢字についてお聞きしたいだけなのですが……」と声をかけながら店内に入っていくのは、図々しい自分のような人間でも、けっこう勇気が必要なのです。


□参考サイト

デイリーポータルZ
https://dailyportalz.jp/kiji/170525199706

東京文化財研究所
https://www.tobunken.go.jp/archives/%E7%95%B0%E4%BD%93%E5%AD%97%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88/


□追記
 昭和3年の『千葉県市川町鳥瞰』に「林石材店」と記載されていました。

「鳥瞰図から読み解く市川」(三井住友トラスト不動産)より抜粋



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