【市川駅南口 年表プロジェクト】「ヴィジュアル系」って何ですか?
かつてJR市川駅の南側にあった市川CLUB GIO。ヴィジュアル系ロックバンドのGLAYのデビューに関係する場所として知られているそうです。
知人とその話をしていたら、「そもそもヴィジュアル系って何だろう?」ということになりました。化粧をしてパフォーマンスをするのならば、アメリカのKISSや日本の聖飢魔IIもヴィジュアル系。しかし、ジーン・シモンズやデーモン閣下(デーモン小暮)はヴィジュアル系とは思えないし、そもそも日本だけのジャンルではないかという話になってきました。
そこで、ヴィジュアル系について検討してみました。
Wikipediaには、以下のように説明されている「ヴィジュアル系」。
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ヴィジュアル系(ヴィジュアルけい)[1]は、日本のロックバンド[2]及びミュージシャンの様式の一つ。bounce.comの出嶌孝次は、「特定のサウンドを示す言葉ではなく、化粧やファッション等の視覚表現により世界観や様式美を構築するもの」と定義している[3]。一方で音楽ジャンルの1つとして扱わう文献も存在しており[4][5][6]、グラムロック、パンク・ロック、ヘヴィメタルと関連づけられている[7][8][9][10]。「ビジュアル系」とも表記され、「V系」(ブイけい)[1]、「V-ROCK」(ブイ・ロック)とも呼称される。
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この説明だと、やはりヴィジュアル系は日本でのジャンルということになります。そしてヴィジュアル系という言葉が定着する前は、「お化粧系」と呼ばれていたとのこと。化粧をすることが大きなポイント。さらに、基本的には男性中心のバンドに対して使われます。女性バンドだと、男装している雰囲気で、派手めにメイクをしていますね。まるで宝塚。
化粧をするのは昔から女性だけでなく、例えば古代エジプトの王はアイラインを施し、日本の公家の男性も白く化粧をしていたようです。洋の東西を問わず、男性も化粧をする文化があったのです。
ミュージシャンとメイクとの関係について調べてみると、時代をさかのぼること70年。1950年代にアメリカのブルースシンガーであるビリー・ライトが、化粧をしていたとのこと。もともとは女装パフォーマーだったそうです。
その影響を受けたようなのが、リトル・リチャード。ロックンロールの先駆けだそうで、人種差別やゲイに対する差別に反発する気持ちもあったのでしょうね、化粧をして派手なパフォーマンスをしながら歌っていました。
化粧をするという行為には、既成観念や鬱屈感を取り払いたいという強い願望が隠されているようです。
それが過剰かなと、若干引いてしまったのは、イギリスのアーサー・ブラウンのメイク。1968年にヒットした「Fire」を歌っている動画には、火が燃えている帽子(?)をかぶって、白塗りメイクで歌っている姿が映っていました。おどろおどろしくて、既成概念は確かに壊されますね。
そして、1970年代にはイギリスでロンドン・ポップが生まれ、デヴィッド・ボウイが登場。美しいですね。動画や画像を見ると、ヴィジュアル系のルーツはデヴィッド・ボウイではないかと思えてきました。
ちなみに、デヴィッド・ボウイやKISSは歌舞伎の化粧術も取り入れていたとのこと。ある意味では、それが逆輸入されたともいえそうです。
歌舞伎の化粧術といえば、カブキロックスがまさにそうですが、彼らはヴィジュアル系には含まれないようです。イカ天出身で、コミックバンド感があるからでしょうか……
昭和でメイクといえば、沢田研二。さらにはYMOと忌野清志郎ですね。幼少期に「い・け・な・いルージュマジック」で忌野清志郎と坂本龍一がキスしているのをテレビ番組で見て、ドン引きしていました。田舎の小学生には刺激が強すぎです。なお、忌野清志郎はミック・ジャガーの影響で、1978年にメイクを始めたのだとか。ミック・ジャガーまでもメイクをしていたとは……
その後、BOØWY、吉川晃司、玉置浩二と、メイクミュージシャンが続きます。
そして1982年に結成したX JAPANは、Wikipediaに「日本のヴィジュアル系ロックバンド」と書かれています。一応、ヴィジュアル系の元祖がX JAPANということになっているようですね。
当たり前のことですが、なんとなく「お化粧系」と呼ばれていたミュージシャンたちが「ヴィジュアル系」と言い換えられたので、元祖もへったくれもないという感じです。
とはいえ、男性メインでメイクしているロックバンドでも、聖飢魔IIやカブキロックスはヴィジュアル系と説明されていないので、なんらかの線引きはありそうです。
そして、ヴィジュアル系のほとんどが、年を取るとメイクをやめていますよね。メイクは「売れたい」「目立ちたい」という強い気持ちの表れで、売れてしまったら、わざわざやらなくてもよくなったのでしょうか。面倒くさいですしね。
■参考資料
http://music-calendar.jp/2018050901
https://intojapanwaraku.com/culture/1695/
https://www.udiscovermusic.jp/stories/teenage-little-richard-makes-studio-debut









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