「東京10号線延伸新線」の名残を市川市内で探せるのだろうか2 「南大野駅」とは分けて考えよう
新宿線本八幡駅と、東武野田線・新京成線・北総線・成田スカイアクセス線が乗り入れる新鎌ヶ谷駅を、ズドンと線で引いてみました。すると、その線は大柏川の北西に位置します。
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Googleマップより、一部改変 |
また、1976(昭和51)年の地図を見ると、大柏川周辺には住宅がありません。そのため、本八幡駅と新鎌ケ谷駅を結ぶ予定だった「千葉県営鉄道北千葉線(後に東京10号線延伸新線)」は、大柏川の北西を通るように計画されたと考えられます。
ところが、「南大野駅」に関する調査が行われた地域は、大柏川の南東なのです。北千葉線と川を挟んだ地域ということ。
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https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000318486.pdf |
今回は、南大野駅の予定地周辺には北千葉線の名残はなさそうだと考えた理由を述べていきますが、そもそも南大野駅とは何なのでしょうか?
南大野駅とは、JR武蔵野線の船橋法典駅と市川大野駅との間に考えられた、架空(仮称)の駅です。
北千葉線が実現すれば、武蔵野線と交差します。その交差しているところに新しい駅を作ると利便性が高まることは、簡単に推測できます。さらに、新しい駅ができれば、地域の人口が増えるという期待も出てくるでしょう。
駅や新しい町の開発。そこに絡んでくるのは政治です。
北千葉線の鉄道免許を千葉県が取得したのは、1973(昭和48)年でした。そして、2013年(平成25)年8月に、実現の可能性がないと判断され、東京10号線延伸新線促進検討委員会(前身は北千葉線促進検討委員会)が解散しました。
この期間の市川市長は、以下のとおりです。
市長:在任期間
鈴木忠兵衛:1974-1977
高橋国雄:1977-1997
千葉光行:1997-2009
大久保博:2009-2017
南大野駅という架空の駅(新駅)でネット検索するとヒットするのが、大久保 元市長です。1期目の2013(平成25)年8月に、武蔵野線沿線開発で調査を行っています。また、同年11月の市川市長選挙で、JR武蔵野線の新駅設置と周辺の住宅地開発などを訴え、2選を果たしたと報じられました。
ちなみに、このときに立候補していたのが、現在の田中甲市長。武蔵野線の新駅設置には否定的な意見でした。
東京10号線延伸新線は断念されたにもかかわらず、大久保 元市長の下、市川市では南大野駅の新設と武蔵野線沿線開発が進められたといえます。
この武蔵野線新駅構想については元市長が一時期かなり前のめりとなり、この地一帯にニュータウンを造り、同市の人口増のけん引役にするともくろんでいた。
以上のことから、東京10号線延伸新線の名残探しと、「元市長が一時期かなり前のめり」だった南大野駅の新設とは、分けて考えるのが妥当です。
南大野駅の新設については、JR武蔵野線沿線まちづくり事業準備会事務局が担当していたようです。
大久保 元市長の後の、村越祐民 前市長の任期だった2019年9月30日にJR武蔵野線沿線まちづくり事業準備会事務局が発表した資料には、次のような記述がありました。
新駅設置に関するJR東日本との協議については、まちづくりの検討に応じて、平成25年より随時行ってまいりました。平成29年には、これまでの鉄道事業上の技術的な課題に加え、新たに運行計画上の課題が提示され、この課題解消には多くの期間を要する旨の見解が示されました。このことから、新駅設置とまちづくりの同時施行は、事業スケジュール上の観点から、困難と判断いたしました。
新駅設置には、上記課題の解消が前提条件となることから、現時点での取組みは困難と考えております。今後、新たなまちづくりの進捗及び課題への取組み状況等を見極めながら、随時、対応を検討していくものと考えております。
要するに、村越 前市長の任期中に、南大野駅新設計画はなくなったということです。
村越 前市長といえば、まあテスラ公用車とか、シャワー室だとか……という感じで、まちづくりが政治家に翻弄されたのかなと、何だか遠い目になってしまいました。
村越氏は在任中、米テスラ社の高級電気自動車の公用車購入や市長室へのシャワー室設置などが物議を呼び、市内外で注目を集めた。議会とも対立し、市政の混乱を招いた。
■参考資料
都営新宿線「新駅構想」は結局消えたのか? 本八幡駅手前に位置、建設費は数百億円のドタバタ顛末
新駅と民需調査委託/武蔵野線沿線開発で市川市/9月末までに報告書
現新2氏最後の追い込み 市川市長選あす投開票 市議補選も 午後11時当落判明
【市川市】JR武蔵野線沿線まちづくり事業 サウンディング調査の実施
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