市川大百科事典 ひ 干潟 ひがた

 干潟 ひがた

 干潮時にだけ露出する、砂質または砂泥質の浅場。
江戸川の干潟

 地形的な特色によって、3タイプに分類される。
○前浜干潟:内湾の海岸線前面で形成される
○河口干潟:河川の河口部で形成される
○潟湖干潟(かたこひがた):河口や海から湾状に入り込んだ汽水性の湖沼やラグーン(「潟(かた)」「礁湖(しょうこ)」、砂州やサンゴ礁によって外海や大きな湖から隔てられた、水深の浅い水域)の岸に沿って形成される
せとうちネット 干潟とはより


 干潟は、1年を通じた川の流量(流況)と波浪による土砂の供給、それに対する波浪などによる侵食のバランスで形成される。
 日本では、潮位差の大きい太平洋岸で多く見られる。波浪の影響を受けにくい内海や内湾、そして、砂泥を供給する河川が流入する場所で発達する。


 干潟の表面に生育する藻類が光合成を行うことで、有機物と酸素が生産される。
 また、潮の満ち引きで、干潟の砂粒の間を通過した水(海水、汽水)が濾過される。そして、砂粒の間に生息する微生物が、リンや窒素を吸収し、有機物を分解する。干潮時に空気にさらされることで、好気性のバクテリアなどの働きが活発になる。
 カニの幼生などのプランクトン、そしてアサリなどの二枚貝が、水中の有機物をエサとして体内に取り込む。こうした生物を魚や鳥がエサとして食べる。
 このように干潟は水を浄化する機能を持ち、海の生態系の維持に重要な役割を果たす。

 東京湾に広く存在していた干潟は、東京都に隣接する立地から、護岸整備・港湾整備・臨海工業用地造成といった海岸整備や埋め立てにより、高度成長期に大幅に減少した。

昭和30年代に撮影された行徳沖(『市川の昭和』より)

クラナリ 2025/09/18


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