市川市大百科事典 こ 護岸 ごがん
護岸 ごがん
水の浸食から、海や川、湖の岸を保護するために設ける構造物。また、水の勢いで堤防が削られたり、崩されたりするのを防ぐ。
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国土交通省 4 護岸工法より |
上図の「蛇篭(じゃかご)」は、竹材や鉄線で編んだ長い籠に砕石を詰め込んだもの。
蛇篭(Wikipediaより) |
日本で最古の護岸と推測されるのが、弥生時代中・後期の原の辻遺跡(はるのつじ、長崎県壱岐市)で、護岸遺構が長崎県教育委員会によって発表されている。
護岸は目的によって、以下の3つに分けられる。
○低水護岸: 海や川などで平常時に水が流れている部分(低水路)の岸を保護する
○高水護岸: 洪水や高潮など低水路から水があふれだしたとき(高水敷〈こうすいじき〉)に堤防が崩壊しないように、堤防の斜面にコンクリートブロックや自然石などを設置して強化する
○堤防護岸: 低水路の岸から堤防まで保護する
構造形式は主に以下の3つ。
○傾斜護岸:捨石式、捨ブロック式など
○直立護岸:突型式(L型式を含む)、ケーソン式、コンクリートブロック積式、セル式、矢板式、石枠式など
○混成護岸:上の2つの組み合わせ
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北陸地方整備局 第Ⅱ 海 岸 編より |
主に高度成長期に、東京湾の臨海部は直立護岸が設置され、埋め立てが進んだ。そのために、浅海域が減少し、干満帯(潮が引いたときに現れ、満ちたときに沈む、海と陸の境界領域)に生息する生物も減少した。
市川市塩浜で、高度成長期の1973(昭和48)年に設置された鋼矢板による直立護岸は鋼矢板の腐食、老朽化、地盤沈下などが進んでいた。
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5 海と陸との連続性・護岸より |
千葉県では、三番瀬再生計画に基づき、市川市塩浜1丁目地先に護岸を整備し、2014(平成26)年10月31日に完成。
参考資料
- 原の辻遺跡調査事務所調査報告書 第29集 原の辻遺跡主要地方道勝本石田線道路改良工事に伴う緊急発掘調査報告書https://sitereports.nabunken.go.jp/files/attach/19/19528/14480_1_%E5%8E%9F%E3%81%AE%E8%BE%BB%E9%81%BA%E8%B7%A1.pdf
- 日本最古の石積み護岸発見/長崎・壱岐の原の辻遺跡 https://www.shikoku-np.co.jp/national/culture_entertainment/20040618000302
- 5世紀の最古級石組み池 奈良、水深50センチで祭祀用かhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF180EZ0Y1A111C2000000/
- 三番瀬再生に向けた市の姿勢と県への働きかけhttps://www.city.ichikawa.lg.jp/gyo06/1111000045.html
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