千葉の辺境「葛南地域」のコンパクトシティに関する取り組みを比較してみた
コンパクトシティとは、「生活サービス機能と居住を集約・誘導し、人口を集積」と、国土交通省のサイトでは説明されています。都市機能をコンパクトに集約することで、徒歩や公共交通での移動が可能になります。
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| コンパクトシティ政策についてより |
コンパクトシティのコンセプトが生まれたのは、1970年代のアメリカでした。郊外化が進んで高速道路などが建設され、環境破壊が進んだことなどが背景にあったようです。
青森市「アウガ」や秋田市「エリアなかいち」など、日本では失敗例の報告が多いコンパクトシティ。失敗した事例を見ると、身近な社会現象をベースに、官主導ではなく私たち市民が検討したほうがよさそうな課題のように思えます。青森市「アウガ」や秋田市「エリアなかいち」については、記事の末尾で紹介します。
今回は、葛南地域である市川市・船橋市・習志野市・八千代市・浦安市の5つの市で、コンパクトシティに関する取り組みを調べてみました。
2014(平成26)年に、都市を「都市機能誘導区域」と「居住誘導区域」に分けて区域外の開発を抑制する「立地適正化計画」が創設され、「コンパクト+ネットワーク」が新たな都市デザインのコンセプトとして打ち出されました。病院やスーパーマーケットなどを一定のエリアに集約することで小さな拠点を構築し、拠点同士、または拠点と居住エリアを公共交通で結ぶという政策です。
立地適正化計画とは、日本で今後も続く少子高齢化の中で、財政面などで持続可能なコンパクトシティを実現するため、市町村区が作成する計画です。
市川市 立地適正化計画の策定は検討前段階?
まだ、市川市は立地適正化計画については作成していない状況でございます。先ほど、人口の推移を見ていただきましたが、まだ市川市も微増ではございますが人口が増えている状況でございまして、どんどん人口が減ってというのはこれからの課題であると考えております。それで今回、都市計画マスタープランの見直し、策定が先行になりますが、そういったことを今後現状分析しながら立地適正化計画について、策定するかしないかについても検討していきたいと考えております。2 点目のエリアの具体化のお話でございますが、今言ったように立地適正化計画は、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、地方等でどんどん人口減少が進んでおりまして、街を集約していく、住むところですとか、都市機能を集約するようなことを、地方都市では進んでやっているところがありまして、そこと公共交通・ネットワークという部分で、公共交通結ぶことによって、市街化の拡大を抑制し、行政としては投資と言いますか、維持する費用を、平準化、下げていこうというのがねらいでございます。
船橋市 立地適正化計画の策定を見送り
船橋市は市街化区域内における人口密度が高く都市機能が充足しており、当面の間は市街化区域における人口密度が高い状態が維持され、居住機能や都市機能、公共交通機能はサービス水準が維持されると予想されることから、現時点では立地適正化計画策定を見送ることとしました。
習志野市 立地適正化計画を策定
習志野市立地適正化計画
八千代市 立地適正化計画が策定できない状況
立地適正化計画なんですが,八千代市といたしましては,先ほどもありました西八千代南部の市街化編入が終わらないとどうしても立地適正化ができません。なのでその後に作る予定で考えておりますのでよろしくお願いいたします。
令和5年度第1回八千代市都市計画審議会議事録
浦安市 「立地適正化計画」というワードがヒットしない(データなし)
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コンパクトシティ政策の失敗事例
青森市「アウガ」
失敗事例としてよく取り上げられるのが、青森県青森市。
もともと財政が悪化していることに加え、下水道整備や除雪など地域課題に悩まされていた青森市は、1999(平成11)年度の「青森市都市計画マスタープラン」にコンパクトシティ化構想を盛り込みました。ちなみに、青森市の除雪コストは年間30〜40億円にも上っていたとのこと。
そして2001(平成13)年、老朽化した駅前生鮮市場の再生事業として、複合商業施設「アウガ」を開業。アウガの地下には鮮魚市場、地上4階までが商業施設、5〜8階は図書館などの公共施設が入居しました。
185億円をかけてシンボル的に建設されたアウガには、初年度は600万人の来場者がありました。しかし、約2億5000万円の赤字。その後も赤字が続き、2016(平成28)年、運営母体の第三セクターが経営破綻。2017(平成29)年に閉業しました。
アウガの失敗には、青森市が車社会で、郊外にはある大規模な駐車スペースを備えた商業施設との競争に勝てなかったこと、そして、家賃の高い中心地に市民は転居しなかったことなどが、主な理由として挙げられます。
また、郊外から中心部への住み替えを誘導するのは、憲法22条が認める「居住、移転の自由」への介入という見方もあるとのようです。
秋田市「エリアなかいち」
青森市と同様に、秋田県秋田市もコンパクトシティの失敗例として取り上げられることが多々あります。市の中心部に15年の歳月と135億円の事業費をかけて「エリアなかいち」を建設。2012(平成24)年に竣工しましたが、2年弱で4割のテナントが脱退しました。
ただ、秋田市については、新たな問題も発生しているようです。
従来のコンパクトシティー政策に逆行して、郊外の大規模開発を構想する秋田市に批判が噴出している。逆行の〝免罪符〟だった市卸売市場建て替えや民設民営スタジアムとの一体整備などの前提が次々崩れ、担当職員らはつじつま合わせに追われる。こうまでして開発を強行しようとする理由を職員らは「市長の意向」と口をそろえる。
秋田発 前提崩れる秋田市の郊外開発 方針転換での強行に市長の意向 2023/2/25
折しも2024年6月3日、サッカースタジアム候補地としてこれまで頑なに市郊外の外旭川地区に拘っていた穂積市長が中心市街地の「八橋も選択肢」と発言し、6月12日には県知事が八橋地区であっても「一定の支援」をすると記者会見で応じた(74)。もちろん第1報の段階であることから、今後の推移を注視しなければ何ともいえない。穂積市長による再度の政策転換の可能性により、本稿の考察対象期間を含むこれまでの政策過程は一体何だったのか、と問われかねない。
秋田市におけるコンパクトシティ政策の揺らぎ ― 市郊外開発にむけた基本計画の策定過程における県と市の対立 ― 自治総研通巻551号 2024年9月号
秋田市長選挙は、2025年4月6日が投開票が行われ、5選を目指した穂積志氏が、新人の沼谷純氏に敗れました。

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