1300年前の国府台の断崖絶壁を再現してみたいのだ 2 どうして現在はこんな地形なのだ!!(クラナリ)

 国府台の崖を再現するため、再び里見公園の周りをうろついていました。そして、思ったのです。

 どうして現在はこんな地形になったのだ!!



 江戸時代に描かれた浮世絵などとは、まったく異なる風景です。
○「く」の字にへこんだ箇所がない


 こうした変化の理由について、まず考えられるのが崖崩れ。
 弘法寺古墳の案内板(柱?)には、「台地の崩壊で現在は半壊状態になっています」と書かれています。


 国府台の崖は崩壊が絶えず、時代とともに台地が減っていっていると考えられます。

 また、崩壊が続いているからこそ、江戸時代に描かれた絵では木々が生えず、岩肌が見えている状態になっているのでしょう。

 弘法寺の周辺は、斜面がかなり補強されています。

 補強されている部分には、木々が根を張れるのでしょう。

 以下は、里見公園から市川駅方向へと向かう、サイクリングロードの斜面です。
 土の中に根が入り込むことで、土が「耕された」状態になり、崖崩れを起こすことがわかります。

 

 下総台地を構成する地層は以下のとおりだとする、発表「下総台地を刻む谷の発達に関する一つの仮説*〔短報〕」を見つけました。
1. 黒色表土層 厚さ0~1.5m
2. 明るい褐色の関東ローム層 厚さ0.7~1m
3. ローム層中の黒土帯(縦のジョイントが多い) 厚さ0.5m
4. 褐色関東ローム層 1~1.2m
5. 褐色粘土層(黄褐色の点模様や黒色の紐状模様が入り、多孔質でもろく、関東ローム起源の粘土層らしい) 厚さ1~1.2m
6. 5層中の上から1/3のところに関東ローム状物質の団塊層が入る。団塊の径3cm以下。団塊層の厚さ5cm以下で部分的に不連続。
7. 5層中の下から1/3のところに浮石粒を含む褐色の硬い団塊の層が入る。団塊の10cm以下。団塊層の厚さ10cm以下でよく連続する。
8. 灰白色の粘稠な粘土層。厚さ50cm内外。平面、曲面の割れ目が著しく、不定形多面体の集まりに見え、侵蝕に対して弱い。
9. 黄灰色の、砂を含む粘土層
10. 灰色砂層で粘土、小礫を含む(成田層)

 関東ローム層と呼ばれる火山灰土のため、崖崩れが起こりやすいのです(なお、「関東ローム層=風塵」説もあるようです)。
 関東平野の台地や丘陵地の大部分が、関東ローム層に覆われています。関東ローム層に人工的に雨を降らせて崖崩れを起こす実験が、1971年11月11日に行われ、15人が死亡しています(川崎ローム斜面崩壊実験事故)。川崎ローム斜面崩壊実験事故から単純に結論は出せないものの(人為的な捨て土が見過ごされた、など)、関東ローム層というものは崖崩れを起こしやすいことは確かです(そもそも崖崩れがあるために実験が行われたわけで)。

 もう一つは、やはり人為的な変化です。
 明治に陸軍の施設が国府台に置かれた際に、さまざまな工事が行われています。その一環で、「く」の字にへこんだ箇所の上は崖崩れを起こしやすいからと、壊してしまった可能性もあるでしょう。


 里見公園の周りには、ぎっしりと住宅が建っています。斜面に建築する際に、地盤改良が行われたことも考えられます。
 下の写真は、里見公園から松戸方向へ進んだ道路ですが、けっこうな下り坂です。その両脇には住宅が並んでいます。



 1300年もの前の国府台の崖は、絵として残っていません。
 今を生きる私たちは、想像をたくましくして国府台の崖を再現するしかなさそうです。
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