【コミュニティづくり再入門】 市川市学習交流施設 市本で「地域コミュニティづくり」を考える3 文化施設とは異なる理由
市川市の文化施設には、市川駅南口図書館・木内ギャラリー・生涯学習センター(メディアパーク市川)・中央図書館・東山魁夷記念館・文化会館・市川考古博物館・市川自然博物館・市川歴史博物館・郭沫若記念館・旧浅子神輿店・行徳文化ホールI&I・清華園・文学ミュージアム・水木洋子邸・芳澤ガーデンギャラリーがあります。
地域交流施設については、JR市川駅徒歩圏だと、市川公民館、市川駅南公民館、 市川市男女共同参画センター(愛称ウィズ)、市川南自治会館、市川3丁目第一町会会館、市川南3・4丁目自治会館などが挙げられるでしょう。
『クラナリ』としてではないのですが、新田2・3丁目自治会館で毎週行われているヨガ教室を、過去には取材しました。また、子ども絡みのイベントで、新田4丁目自治会館を使わせてもらったこともあります。
文化施設を地域交流施設と比較した際、「利用者数だけで存続は左右されない」という印象があります。
正直、市立市川考古博物館・自然博物館は、利便性の悪い場所にあります。『クラナリ』の編集人が足を運んだとき(平日)は、貸し切り状態でした。1日当たりの利用者数は20人以下かもしれません(あくまで推測。違っていたらスミマセン)。
ただ、「利用者数が少ないのなら閉鎖すればいい」という、単純な話はできません。考古博物館・自然博物館には、貴重な資料が多数そろっているからです。一般市民が、約5000年前のものと思われるコククジラの骨格を保管したり、展示したりできるでしょうか。
また、一般市民が、自然博物館のように、熱帯植物を集めた温室を維持できるでしょうか。図書館のように、古い、貴重な資料を保管したり、高価な図書を購入したりできますか。文化会館大ホールのステージを作れますか。
文化施設には、「コストがかかり過ぎて一般家庭では無理」「貴重」といった資料や場(ステージ)などを、市民の共通財産として維持・保管する役割があります。コスパ以上に大事なことがあると明確にいえるからこそ、文化施設なのでしょう。
一方、地域交流施設は「交流」が目的なので、人が来なければ話になりません。利用者の少ない公民館は「老朽化」などを理由に閉鎖されているようで、公民館を設置している市町村の割合が減少傾向にあるという調査結果が報告されています。自治会館など「自治公民館」については設置されていない市町村のほうが多いとのこと。
公民館や自治会館に代わる施設があるのかもしれません。また、文化施設が積極的に地域交流を促進しているケースもありました。
あくまでも個人的な印象ですが、飲食店が地域交流の場の一つになっています。コロナ禍で制限されていましたが、やはり飲み食いしながら誰かと会いたい・話したいというニーズは、依然として高いと思います。
「市川市学習交流施設 市本(いちぼん)」はカフェを併設しているものの、窓際にカウンター席が並んでいて(窓に向かって座る形態)、誰かと向き合って話ができる場所ではないという印象でした。
静かに本を読みながらコーヒーなどを飲む空間。
読書中の見知らぬ人に声をかけるのも変だし、本について熱く語り合うのも場違いです。
本を介して誰かと交流するのならば、シャポー市川のブックファーストで本を買って、同じくシャポー市川のスターバックスコーヒーやコメダ珈琲店などちょっとざわついたところで読書したり、感想を語り合ったりするほうが、気が楽(あくまでも仮定の話で、『クラナリ』編集人は本を介して誰かと交流したりしません)。それに、駅近には大杉書店があり、南口図書館も駅から徒歩0分です。
市本の1日当たりの利用者数は20人前後だったというのは、仕方のないことだと思います。書店や図書館のない地域に設置していたら、また状況は違ったのでしょう。
○JR市川駅周辺は、すでに地域交流施設やカフェが多数存在する
○JR市川駅周辺は、本を買うにも借りるにも便利な場所である
○市本で扱っている本は、いわゆる一般書で、「ここにしかない」「貴重な資料」ではない(ネット・リアル書店で安価に購入できる)
以上のことから、市本の利用者数が減ってしまい、やむなく市川市は閉鎖を決めたのだと考えられます。
本を介さなければ、地域交流施設として運営しやすかったのかもしれません。これは次回に考察します。
■参考資料
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