「東京10号線延伸新線」の名残を市川市内で探せるのだろうか3 地上に出る地点「大柏川調節池付近」で探せ
新宿線本八幡駅と新鎌ヶ谷駅を結ぶ予定だった「千葉県営鉄道北千葉線」、そして、この計画を引き継いだ「東京10号線延伸新線」について、ウェブサイト「高砂第一工廠」で詳しく解説されています。
○千葉県営鉄道北千葉線のあゆみ 4:停滞の10年間
○千葉県営鉄道北千葉線のあゆみ 5:計画の終焉
こちらのサイトで、「市川市南大野の用地は今後道路用地となる」と写真入りで、新線のために取得された用地が紹介されています。
なるほど、南大野にある。これで「『東京10号線延伸新線』の名残を市川市内で探せるのだろうか」は一件落着!
ですが、以下の記述がありました。
北千葉線の用地取得率は7割を超えていた。協定や図面も整備され,ところによっては建設工事も行われていた。緑道に生まれ変わった用地もある。以前から自治体に貸し付けられていた公園や駐車場など,北千葉線の用地は少しずつだが街に溶け込みつつある。
上記から、「市川市南大野の用地は今後道路用地となる」の場所のほかにも、市内には名残がある可能性も考えられます。
可能性が高いのは、やはり地上に出る地点。北千葉線が計画された時点で、新宿線本八幡駅周辺は市街化が進んでいたので、「早めに出口用の土地を押さえておかないと、住宅が建築されてしまう」と北千葉線担当者は考えたのではないでしょうか。
地上に出る地点を検索すると、市川よみうり1999年9月号がヒット。
市川市と鎌ヶ谷市(9・3キロ)を結ぶ鉄道新線・北千葉線の促進を進めるため、市川市など八市町村で組織する千葉県西部・北総地域鉄道建設促進期成同盟(会長・千葉光行市川市長)は3日、運輸省と地元選出の国会議員に、「北千葉線が運輸政策審議会の整備することが適当な路線として位置付けられ、早期に実現が図られるよう」要望書を提出した。(中略)市川市内には、本八幡駅と大柏川調節池周辺の東菅野駅、市川市保健医療福祉センター東側の柏井駅が予定されている。北千葉線は地下鉄都営新宿線本八幡駅と連結するため、大柏川調節池付近で地上に出て、武蔵野線の下をくぐる計画になっており、「二駅を中心に沿線の約100ヘクタール(1万人相当)の都市基盤整備を考えている」(市川市街づくり推進課)。
「大柏川調節池付近」が予定されていたとのこと。
あれ?
『クラナリ』では「地下にある本八幡駅から、真間川を経由して宮久保5丁目くらいまでトンネルを掘り、大柏川沿いの、当時は田んぼが広がっていた地域から地上に出るという構想」「大柏川の北西を通るように計画」と推測していました。
しかし、「大柏川調節池周辺の東菅野駅、市川市保健医療福祉センター東側の柏井駅」を作るとしたら、新宿線のトンネルは真間川・大柏川の下を抜け、大柏川の南東で地上に出て、北上して市川市保健医療福祉センター東側を抜けて、北鎌ヶ谷駅に行くために大柏川を橋で渡る」というルートになります。
ただ、大柏川調節池の住所は千葉県市川市北方町4丁目1444−95。北方町なのに駅名が「東菅野駅」では、住民は納得しないでしょう。
となると、大柏川調節池から近くて、住所は東菅野の土地に、東菅野駅を計画したと考えられます。
こちらにも問題があります。東菅野から市川市保健医療福祉センター東側へと進むとなると、大柏川をまたがなければならなくなるのです。つまり橋を架ける必要があるということ。
市川市保健医療福祉センター東側から北鎌ヶ谷駅に向かうにも、大柏川に橋を架けなければなりません。同じ川を2回渡るために2つも橋を架けるなんて、コストがかさみ過ぎませんか。
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Googleマップより、一部改変 |
上の地図のオレンジのラインが、大柏川調節池で新線が地上に出た場合。紫のラインは、東菅野の場合。
いずれにしても、「東京10号線延伸新線」の名残は、大柏川調節池の周辺で探すのが妥当だと考えられます。
ちなみに、『クラナリ』編集人には川をたどる性質があり、大柏川の脇道を鎌ヶ谷市との境まで歩いて、上流の様子を見に行っていました。大柏川調節池についても、足を運んでいます。
○市川の「谷」を見に行きました 大柏谷編
「東京10号線延伸新線」の名残なんて、あったっけ?
建設工事などが行われていない、緑道・公園・駐車場がその名残で、ちょっと見ただけではわからない状態の可能性が高くなってきました。
それでも名残を見つけられるのか(汗)……乞うご期待。
※「東京10号線延伸新線」の名残を市川市内で探せるのだろうか1 地上に出る地点はどこなのか では、Wikipediaでの「設置予定駅」で東菅野駅・柏井駅が[要出典]になっていると書きました。こちらについては、出典が『東京10 号線延伸新線の事業化に関する調査報告書』ということがウェブサイト「高砂第一工廠」でわかりました。
※『東京10 号線延伸新線の事業化に関する調査報告書』には、新線の3つのルート案が記載されているそうです。ウェブサイト「高砂第一工廠」に詳細が記されていますが、政治的な駆け引きが激しかったのでしょうか、なんだかゴチャついています。鉄道の新設が大変ということが伝わってきました。
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