各地域で一極集中が続くこれから、私たちはどこで暮らすのか

神戸市の推計人口は10月1日時点で149万9887人となり、22年ぶりに150万人を下回った。京都市でも減少傾向が続く一方、大阪市は増加。福岡市も増え続けており、地域ごとの一極集中がうかがえる
若い世代が結婚や住宅購入などのタイミングで、職場に近い大阪市や阪神圏、住宅コストが抑えられる隣接の兵庫県明石市などに流出している影響もある。


 「少子高齢化は、地方が最先端」とよくいわれていますが、現在の関西の状況は、近い将来の首都圏にも起こりうることではないでしょうか。
 大阪・神戸・京都については、「三都物語」と称してJR西日本による観光キャンペーンが行われていました。
 ただ、人口だけを見ると、大阪の一人勝ちのようです。

 人口減少時代の今、企業が拠点統合を行う場合、首都圏ならば当然東京に、関西圏ならば大阪に、九州ならば福岡に集約するでしょう。職住近接を求める人が多ければ、人口は東京、大阪、福岡に集中するということになります。

 首都圏については、高度経済成長期に拡大する傾向があり、多摩や千葉などにニュータウンが作られました。
 しかし、1990年代前半には縮小に転じているという見方があります。このまま続けば、東京の23区だけが首都圏になる可能性も出てきそうですね。

 千葉については、熊谷俊人知事も過去に言及していましたが、「先がない」県です。
 埼玉や横浜には新幹線が通り、東北や関西などの「先がある」のに対し、千葉の先は海。経由地にはならないということです。

 人口戦略会議が2024年4月24日に公表した地方自治体の持続可能性に関する報告書で、千葉県内では人口減少が深刻化する「消滅可能性自治体」に、銚子市や勝浦市、栄町や神崎町など22市町が上がっていたそうです。

 高度経済成長期には首都圏として開発が先行した地域も、今は荒廃化して「限界ニュータウン」と呼ばれています。限界ニュータウンとは、昭和30年代の住宅地などの乱開発が原因で、現在は空き家や荒地だらけになった、かつての分譲地です。
 現在、東京では100年に1度といわれる大規模再開発が進んでいて、タワマンも建築されています。すると、東京に人口がますます集中する可能性が高まるでしょう。

 ちなみに、人口戦略会議が発表した千葉県内の「自立持続可能性自治体」は流山市と印西市の2市。子育て支援策が充実して、子育て世代が流入しているからだと分析されていました。

 では、子育て世代の流入を促せばいいのかというと、その世代の争奪戦を繰り広げるだけで、日本全体として見ると「不毛」。そのようなわけで、神戸市はタワマンを規制して、人口減少に備えたといえそうです。神戸市長はインタビューで「人口が減るのが分かっていながら住宅を建て続けることは、将来の廃棄物を造ることに等しい。タワマンはその典型」と語っていました。

 人口が減少すれば、税収も減り、行政サービスも縮小するでしょう。空き家問題は、さらに深刻化します。地域の経済活動も縮小するわけで、利便性ばかりを追求できる世の中ではなくなるでしょう。自助・共助・公助の中で、自助と共助の部分を大きくしていく必要性が生まれると考えられます。地域コミュニティがどのように機能するかが、カギになるはずです。流入も流出も多い地域は、その課題が大きいといえます。


 東京都の隣、千葉県の辺境の市川市も、神戸市の人口減少・タワマン規制は他人事ではなさそうです。

■参考資料
千葉の「消滅可能性」自治体は銚子など22市町 ちばぎん総研「移住したい拠点作りを」

縮む東京都市圏と茨城

『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』著/吉川祐介 太郎次郎社エディタス
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